2013年5月24日金曜日

AISTSが世界第3位に!!


IOC(国際オリンピック委員会)が中心となり設立したAISTS MSA (International Academy of Sports Science and Technology)は、IMDビジネススクール、スイス連邦工科大学ローザンヌ校、ジュネーブ大学、ローザンヌ大学と共に共同設立された学校でもある。

2000年に設立されたこのプログラムは、スイスのローザンヌにあるという学校のスポーツ経営学の修士プログラムであり、カリキュラム自体は経営学と経済、テクノロジー、法律、社会学と医学の5つに分かれており、スポーツの現場における様々な分野が幅広く学べるのが特徴である。

2012年12月、AISTS MSA 10周年記念&卒業式が行われ、現在まで総勢300名以上の卒業生を輩出しており、IOC及びIFsに行けば必ずAISTSの卒業生が最低1人は在籍しているという「ローザンヌネットワーク」の中心となっている。

その母校であるAISTSが、今回、The Eduniversal Best Masters Ranking で主に以下の3つのポイントからの総合評価で、世界第3位のスポーツマネジメント大学院に選ばれた。

1. Reputation of the Programme(プログラムの評価)
2. Salary of the 1st employment (大学院卒業後の最初の就職先での給料額)
3. Satisfaction of the students (生徒のプログラムに対する評価)

AISTSのボーナスポイントとして、
・25ヶ国という多国籍の生徒が集まっている点
・10%の卒業生が質問に回答している点
・卒業後のスポーツ界でのインターシップもしくはフルタイムジョブを高い確率で得ている点
・生徒の授業への出席率が良い点 等々

今回のThe Eduniversal Best Masters Rankingは、大学院の機関を評価しているのではなく、プログラムの内容に関しての評価になっている。

ちなみに、その他のスポーツマネジメント大学院はどうなっているのか?

こちらを参照してほしい⇒The Best Masters Ranking in 50

残念なことに、お隣の韓国は3校もトップ50に入っているのに、日本のスポーツマネジメント大学院は1校も入っていない。

近年、日本人学生の能力低下が問題になっているが、何が問題なのか?

教育システムの問題、学校の先生の問題、親の問題、英語力の問題・・・・・

大事なポイントは、物事の根底から分析し、「本質的な問題」を見つけることにあると思う。

例えば、日本人の英語力が低いから、世界と戦える人材を育てるために、大学試験でTOEFLを導入するという話もでているが、果たしてそれで「日本人の英語力向上」に繋がるのか?

導入を決めた方々は、TOEFLを受けたことがあるのか?
どれだけ難しいテストかご存知なのか?

今の学校の英語教育システムでは、到底、TOEFLのテストに適したレベルになっているとは思わないのに、TOEFLをクリアしないといけない。 

矛盾していないか?

まずは、先に、学校の英語教育システムをTOEFLに適したシステムに変えるのが先ではないかと思う。そうしないと、ほとんどの学生がTOEFLテストを勉強するだけで受験勉強を終えてしまう気がして仕方がない。

TOEFLで100点を超えるためにはどれだけの努力が必要なのか・・・・
身を持って感じた人間として容易にTOEFLを導入したら「英語力は改善されるだろう」という考えには賛同できない。

この結果からわかるように日本の教育レベルは徐々に世界から離されてきていると思う。

いよいよ、日本の「教育」について、世界と戦う人材を育てるために、本格的に「教育論」について議論する時が来たのではないかと思う。

2013年5月17日金曜日

中東情勢は五輪招致に影響を与えるのか?

2013年9月7日@ブエノス・アイレスで2020年オリンピック開催国が決定する。
いよいよ残り約100日となってきた。

世耕弘成官房副長官は会議後の記者会見で「これまでかなり外国に働き掛けてきたが、今後は支持を確実なものにしていく段階になる」と強調した。(共同) 2013.5.16

以上の言及のように、残り約100日という期間、ここからが本当の勝負となってくる。
5月の「スポーツアコード」、6月のANOC総会@ローザンヌ、7月のIOC委員に対するプレゼンテーション@ローザンヌで7月下旬当たりには大方の流れができあがるのではないかと予想する。

ポイントは、一点のみで、「どのようにしてIOC委員から2020年東京開催の賛同を得られるか」である。約100名のIOC委員に対して、誰が東京に投票をするかしないかという具体的な所までわかっていないといけない、そして、もっと言えば、第1回目の投票で最初に負けた国の投票をどのように得るかという第2回目の投票の動向まで想定していく段階になるだろう。

そして、同時に、この時期に大事になってくるのは、「国際情勢(政治)の動向」である。

オリンピックの招致活動において、「大きな力」=「国際政治(国際情勢の影響から)」が働くのは関係者の間では周知の事実であり、その「大きな力」を引き寄せることが何よりも大事になってくる。

では、過去のオリンピック招致レースはどうだったのか?
国際情勢と五輪招致の関係性を見ていきたい。

①2008年北京五輪
・中国(北京)は、なかなかオリンピック招致の正式表明を発表しなかった。その理由として、中国を  
  国際社会に引き入れる為、2008年は中国(北京)での開催を強く望んだアメリカとの駆け引きがあ
 った為である。アメリカ企業であるGEは、中国のインフラ事業をオリンピックネットワークで獲得
 しようとし、オリンピックスポンサーでもあるコカコーラ社も、当時、競合他社でもあったペプシコ社
 の台頭から、巨大マーケットの中国市場への参入の強化の為望んだ経緯もあり、アメリカの経済
 界が北京開催を強く望んだ。また、もともとニューヨークは、2008年の大会招致に立候補してい
 たが、2週間もたたずに立候補を取り下げるというアメリカ政府からの圧力があったと思わさせる
 出来事もある。結果、中国(北京)は、最終的に56票という過半数で圧倒的な勝利を収めた。

②2012年ロンドン五輪
・もともと2012年オリンピック招致は、2008年の北京代替案でIOCに借りを作ったパリが優勢であ
 った。しかし、結果は、パリとの4票差という激戦を制したロンドンに決まった。その背景として、ア
 メリカ主導のイラク戦争に反対したフランスには絶対に勝たせてはいけないと、アメリカのIOC委
 員が他国のIOC委員を巻き込みロンドン票を固め、最終的に、イラク戦争に協力したイギリスに
 勝たせたと言われている。

③2016年リオジャネイロ五輪
・前評判は、1996年アトランタ五輪以来の大本命と言われ、最終プレゼンには、オバマ大統領夫
  妻 も出席したシカゴが最有力だと言われてたが、結果は、第1回の投票でまさかの落選となっ
  た。背景に何が起こったのか?今回は、2012年のアメリカの動きに対するIOCの仕返しであった
  と言われている。長年、多額の放映権、スポンサー料を払っているアメリカ側に容易に勝たせる
  事をしない程、国際情勢と五輪招致の関係性は複雑なのである。

では、2020年招致活動と国際情勢の関係性はどうなのか?

マドリードのEU経済不安はもちろんであるが、一つの大きなポイントとなってくるのが中東情勢である。



具体的に、現在、中東情勢は何がどうなっているのかご存知だろうか?

先日、トルコ南部でテロ爆弾があり多数の死者を出した中東情勢は今後ますます悪化していくと予想される。その結果、とうとう、アメリカも不本意ながらシリア情勢に介入を深めていくようだ。基本的に戦争が嫌いなオバマ大統領はできる限り介入を避けたかったが(イラクやリビアとは違い、シリアには石油がない為、アメリカにとってはメリットがない)、

1.これ以上時間を費やしたら介入がより難しくなり、また、介入コストもよりかかる為、早期介入を
  望む人が多い事

2. 放置すればする程、周辺国に難民が流れ込み宗教対立の激化を生む事

3.シリア(イラン・ロシア)VSイスラエル(アメリカ・NATO)の構図から、ロシアがアメリカに協力する
  という動きに変わったてきた事(先日、プーチン大統領とイスラエル首相との会談もあり)

以上の事から、アメリカも本格的にシリア情勢に介入をしていくが、それに伴い、中東情勢の不安定化が長期化すると予想される。上記の五輪招致の過去の例からわかるように、各国の思惑が働くのが五輪招致であり、最終的な「大きな流れ」を作る決め手となる。

今後、中東情勢は2020年五輪招致に間違いなく影響を与えていくと思う。中東情勢がどう2020年五輪招致に影響するかが大きなポイントとなり、今後、中東情勢の動向には目が離せない。

2013年5月12日日曜日

なぜIOC委員は候補都市を訪問してはいけないのか?

 IOC(国際オリンピック委員会)は、2002年の冬季オリンピック・パラリンピック招致の際に起きた「ソルトレークシティー招致スキャンダル」と呼ばれる事件以来、IOC委員が自由に立候補都市を訪問する事を禁止してきた。

 理由として、当時、ソルトレークシティー招致委員会と一部のIOC委員との間で法外な金銭授受があった為である。

 事の発端は、ソルトレークシティー招致委員会の主要メンバーからの手紙が原因で、「もうこれ以上は奨学金を支払えない」という内容から、各メディアが「招致委員会がIOC委員の娘に総額40万ドルに及ぶ奨学金を提供した」と報じた事から問題が明るみにでる事になり、大問題へと繋がった。

 以後、問題を収束するべく、IOCは臨時総会でIOC委員の開催地に立候補した都市への訪問を「全面禁止」とする事を決めた。さらに、仕事の関係でどうしても行かなければ行けない場合は、IOCに届け出て許可を受けなければいけなく、その上、立候補した都市からIOC委員への個別接触もしてはいけない事になった。

 以上の決定をされるようになって、10年以上がたつがローザンヌでも各方面からこの問題について話をよく聞くように思う。

 3 Wire SportsのAlan Abrahamson氏も「次期IOC会長に求める10の提言」でオリンピック開催都市を決めるBid city processを変えなければいけないとして、そろそろIOC委員も各立候補都市を訪れても良いのではないかと提言している"The IOC presidency Top-10 list by Alan Abrahamson" (今後のIOCの動向を見極める上で、重要なキーワードがたくさんあるのでお時間ある時にでも、是非一読して欲しい。)

 
  では、なぜIOC委員は各都市を訪問するべきなのか?

 私は、彼らの指摘を含め、大きな問題は以下の3点にあると思う。

 まず、1点目は、自分の目で見ずに、いったい何を基準にして開催都市を選ぶべきなのか?が不明確な点である。少なくとも訪問を禁止されているIOC委員は、1次情報を得ることができず、誰かに聞くのか、ニュースを見るのかという2次情報に頼らなくてはいけない状況にある。

 そして、2点目は、IOC委員の訪問が禁止された事への変わりの制度として作られた「IOC評価委員会のレポート」であるが、問題は、多くのIOC委員が評価レポートに目を通していない可能性があると、Alan Abrahamson氏は述べている。 「評価委員会のレポート」を読まなければ何を基準に各立候補都市を評価するのかさらに疑問である。

 最後に、3点目として、立候補する都市、とりわけ初めて立候補する都市が不利な点にある。理由として、世界的に有名な都市、かつオリンピックなどの国際大会を何度も招致した経験を持つ都市がライバルとなれば当然不利に動く事は否めない。

 以上の3点の問題を解決するべく、今年の9月次期IOC会長が決まるタイミングで各オリンピック開催都市の決定方法も変わっていくのではないかと期待されている。今後の「IOCの動向」に是非注目したいと思う。


"AISTSの講義に来てくださったフィンランド出身のIOC委員であるPeter Tallberg氏もこの問題についてお話くださいました。

そして、やはりIOC委員は、世論に流されるのではなく、独自の考え方、プライドを持ち、責任を持って開催都市に投票されているのだなと話をする上で痛感しました。

もちろん、2020年東京に関しても、応援のお言葉を頂いております!!"




2013年5月3日金曜日

「今回の騒動」について



日本のゴールデンウィークにあたる時期に、「猪瀬知事失言問題」が世界中のメディアで大きく取り上げられた。こちらスイス、ローザンヌでも当然話題にあがった。
 
事の発端は(日本でも十分に取り上げられているので詳細は割愛させて頂く)、猪瀬知事がニューヨーク訪問中、ニューヨークタイムズのインタビュー中に競合都市を批判する発言をした事からだ。IOC(国際オリンピック委員会)は、立候補都市の招致活動関係者が競合都市を批判するような言動を(オリンピック憲章:五輪招致都市活動規則14条)にて固く禁じている。

それに対して、ローザンヌのスポーツ関係者からは、東京はBig Chanceだったが、これで分からなくなった。」「欧州の文化、オリンピズムの観点から、自分の事はどれだけアピールをしても構わないが、他者を批判する事は一番良くないことだ」「何が一番よくなかったかというと、宗教という非常に慎重にならなければいけない話題について言及したことだ」以上の厳しい言葉を頂いた。特に宗教の言及については、日本人の感覚からは想像を超える程海外ではタブーな話題とされている。私も同様で、クラスメイトが25カ国から集結しており、様々な宗教が存在する中、宗教の話題には極力ふれないようにしている。

さて、「今後の招致活動の動向」を読み解く上で、重要なのは何が一番のポイントであるかという事を理解する必要がある。ここでの一番のポイントは、「なぜIOCが今回の騒動について処分なしの判断をしたのか?」という点だ。この背景を読めるかどうかで今後の招致活動の仕方は大きく変わってくるのではないかと個人的には感じている。

201397日(土)ブエノスアイレスで、最終的に総数約100票のIOC委員による投票で2020年五輪開催地は決定される。そうした中、IOC委員に大きく影響を与えるのがIOC事務局側なのである。7月のIOC評価委員会(IOC事務局側)のレポートも最終的には彼らが作るので「彼らの意図」があるレポートにできあがるし、そもそもIOC委員は立候補都市を訪問する事を禁じられている。つまり、彼らは自分達の目で状況を把握することはできないし、結局は、2次情報という形でIOC事務局側から情報を得るのが自然な方法となってしまうのである。

では、仮に、今回の一件について、IOC事務局側が「東京に何かしらの処分を課した」のであれば、当然、東京には大きな減点となり勝負が決まったところではあった。つまり、何が言いたいかというと、五輪初開催というメッセージが好きなIOC事務局側的には、勝負を決めようと思えば決める事ができたはずである。どういう思惑が裏で働いたかは分からないが、東京にとっては騒動が形に残らない点では、「最悪の事態」だけは避けられたとというところだ。

では、今後、「五輪招致活動」をどのように進めていくべきなのか?改めてしっかりした行動方針を打ち出す必要があるのではないかと思う。主観的な話になるが、私個人としては以下の3点が重要になってくると考える。

まず、1点目は、「イスラム諸国への謝罪」を世界のメディアが集まる場できちんと行う事である。当然ながら、今回の騒動でIOC委員に対しての「マイナスイメージ」は拭えない。しかし、この騒動が仮に8月に起きてしまったのであれば、もう取り返しがつかない事態になっていたが、幸い、招致都市決定までまだ4ヶ月ある。ましてや、5月の「スポーツアコード」、7月の開催地プレゼンテーションとIOC委員と本格的に接する機会はまさしくこれからで、これからの4ヶ月が「招致活動の佳境」を迎えるのである。この7月までに流れが決まるといっても過言ではないと考える。これからこの事態を真摯に受け止め、しっかりした対応をすることが「今後の東京」の印象を作っていくのではないかと考える。

そして、2点目は、1点目に伴い、「東京招致PR戦略の方向転換」である。今回の騒動を受けて、元々予定していたプレゼンテーションだけを行うのは不十分だと思う。何もなかったかのようにするのではなく、少なからず今回の騒動を受け、「どのように東京は変わったのか」をPRする必要があると思う。起こった事は仕方がないことだが、それに対して「どういう対応を東京はしていくのか」という動向を見ていきたいとローザンヌのスポーツ関係者も動向を注目をしている。

最後に、3点目は、一番重要になってくる正確な「票読み」である。今回の騒動を受け、今一度、現在の選挙勢力図を分析するべきだと思う。東京は、現段階で何票の票を確定でき、何票の票を高い確率で得る事ができるのか、今回の一件で、何票の票が無くなりそうなのか、そして、何票の票が確実に無理なのか。以上の事から、不確定な票に対してどれだけのフォローができるかで勝負の行方変わってくるのではないかと感じる。
 
現在、東京招致活動は、大変な時期を迎えている。しかし、「大変」とは、その漢字の通り、「大きく変わるチャンス」でもある。個人的にも、「一番ピンチな時こそ、自分の株を上げるチャンスであった」と思う事が今振り返ってみれば多々ある。「東京招致チーム」も今が力の見せどころではないか。残り4ヶ月、私も全力で応援したいと思う。

2013年4月26日金曜日

オリンピックとNew Media


 
    IOC(国際オリンピック委員会)が中心となって設立した大学院、AISTSの1つの特徴として「スポーツテクノロジー」の講義をカリキュラムに入れている所にある。4月は、IOC、Youtube、Crystal CG International、EKSから各メディア担当者が「New Media」の講義に来てくれた。Crystal CG InternationalやEKSは「イスタンブール」のコンサルティング会社であり、IOCとの強い繋がりを印象付けるように「イスタンブール招致関係者」がAISTSに度々来るように感じる。
 
   さて、本題の講義については、「オリンピックとNew Media」、「IOCの次なる挑戦について」である。2000年シドニー五輪時から長らく議論されてきた「インターネット中継」問題。ネット放送は、IOCが巨大五輪の基本的な枠組みとして築いてきた「国別放送」「テレビ局独占」という大前提を覆す恐れがあるとして懸念されてきた。しかし、ロンドン五輪時にNBC五輪特別サイトのページビュー(PV)の観点から一定の成功を収めると、IOCは「インターネットビジネスの可能性」について本格的に認識し始めた。講義のポイントは、今後、IOCはこのまま「インターネット放映権」をテレビとのセット販売で行くのか、独自の新しいビジネスモデルを構築するのかに焦点をあてる形となった。結論から言うと、彼らは「現時点では、まだ分からないが次回の2020年以降のオリンピック放映権契約時に少なからず変化があるのではないか」という見解のようだ。

   そもそも、「テレビ放映権料」がIOC収入の50%近くを支える巨大五輪の根幹となり、テレビ局が「IOCのお得意様」になったのは、1984年ロサンゼルス五輪の組織委員長であるピーター・ユべロス氏の五輪改革の成果である。結果、過去赤字続きで各都市から不人気であった「オリンピック」は、ロサンゼルス五輪で黒字化へと導かれる形となった。それ以降、テレビ局の意向は、競技方法を変える程、優先順位が高いものとなった。

   しかし、近年、IOCのテレビ局に対する優先順位が変わってきているのではないかと思わされる事項が、講義を通し私なりに検証した結果、3点あるように思う。

 まず、1点目は、今年の2IOC理事会で決定された「レスリングの除外候補」問題。「レスリング」は、米国の人気スポーツである。そして、米国向け放映権を持つNBCは、14年ソチ冬季から20年夏季大会まで438000万ドルで契約している上、国際的普及、チケット売上、テレビの視聴率の観点から26競技から最下位になる事はとても考えにくい。IOCが五輪全体の選手数を減らすため、国際レスリング連盟に競技種目統一の対策を求め、その対応が鈍かったのは分かるが、テレビ局の意向を考えれば、「除外候補」という屈辱的な烙印を押すことは少なからずできないはすである。これに対して、もちろん、米国オリンピック委員会は、全力で「レスリング」のオリンピック種目復帰にサポートすることを約束している。

 そして、2点目は、上記にも記載しているが、IOCがロンドン五輪時に、「インターネット本格中継」を容認すると同時に、動画サイト「Youtube」向けにオリンピック映像を無料提供した点である。もちろん、多額の放映権を払っているNBCは猛反発したが、これには、近年、IOCが最も力を入れている「若者のスポーツへの取込み」という課題を優先させた事に他ならないと考えている。理由として、「Youtube」は基本的に、10代、20代といった若者世代に最も使用されているNew Mediaであるからだ。

 3点目は、2018年韓国・平昌、2020年日本・東京というアジア連続開催になるかもしれないという点が意外に問題視されない点である。当然のように、多額の放映権を払っている米国NBCは「リアルタイム」放送の為、時差があるアジアの連続開催は避けたいところである。しかし、私がローザンヌに来てこの4ヶ月、様々なオリンピック関係者と「2020年の招致動向」について話を重ねている限り、1度も東京のデメリットとしてこの問題を指摘された事がない。
   
以上の3点から、あくまでも主観的な見解になるが、IOCの優先順位はテレビ主体のビジネスモデルからNew Media主体のビジネスモデルに変わろうとしているのではないかと講義を通して感じた。是非、次回の2020年以降のIOCとテレビ局との契約内容に注目したいと思う。

2013年4月16日火曜日

Olympic Legacy ② ~The case of London ~













前回のブログでは、「Olympic Legacy」とは何なのか?
そして、「Legacy Plan」を作る重要性について述べてきた。

今回の投稿では、2012年ロンドン五輪を「Case Study」として、ロンドン組織委員会、英国政府が取り組む具体的な「Legacy Plan」について見ていきたいと思う。

その前に、なぜ、ここまで「Legacy Plan」にこだわるのか?

理由として、明確な「Legacy Plan」を作らなければ、人の心を動かす具体的な「メッセージ」を作ることはできない。「オリンピック」というメガスポーツイベントを通して開催都市はどうしたいのか?どうなりたいのか?この点に関して、ローザンヌで、東京は「オリンピックを開催しなければいけないメッセージを明確にしないといけないのでは」と、度々、オリンピック関係者との議論で指摘されてきた。従って、もっと日本でも「Olympic Legacy」に関する議論がされるべきであるという思いがあるからだ。

発展国の都市である、ロンドンと東京は、リオジャネイロと違い共通点も目指すものも近いと言われてきた。ロンドン五輪関係者が作る「Legacy Plan」は大いに参考にするべきだと思う。

では、2012年ロンドン招致委員会・組織委員会・英国政府は「Legacy Plan」をどう考え、実行に移しているのか?

英国政府は、2008年6月に「Legacy Action Plan」を発表。実は、その前年度に、「Legacy Plan」として1度発表されていたが、より効果的、具体的な「5つのプロミス」という形で再度発表された。それほど、英国は「Legacy」に対して積極的なのである。
「5つのプロミス」は、以下の通りである。

1. 英国を、世界をリードするスポーツ大国とすること
2. ロンドン東部地域中心部を変革すること
3. 若者世代をインスパイヤーすること
4. Olympic Parkを環境に配慮した持続可能な生活を促進するものにする
5. 英国が、住みやすく、働きやすく、ビジネスもしやすい、そして、人々を歓迎する場にすること

その中でも、2012年までの「Legacy action plan」として「Sporting Legacy」の部分では具体的に落とし込まれている。

1. 2012年までに5歳から16歳の全ての英国の子供達に1週間当たり5時間、16歳から19歳までの
  子供達に3時間のスポーツ時間を提供すること
2. スポーツエリートの育成。2012年大会にて、オリンピックのメダル数で4位以内に、パラリンピッ
  クのメダル数で2位以内に入る
3. 2012年までにイングランドの少なくとも200万人がスポーツに活動的になるように支援する

そして、2012年1月には、今後の2012年ロンドン五輪後の最優先レガシープランとして、「ユース・スポーツ戦略」が発表された。これは、今後5年間に宝くじと国家予算から捻出した計10億ポンド(約1500億=2013年4月現在の為替レートから)の投資を行い、若者のスポーツ離れを阻止しようという試みである。

それと同時に、2016年リオジャネイロ五輪までに若手スポーツ選手をエリート教育すること、学校教育に「スポーツゲームプログラム」を導入し「学校スポーツ」を盛り上げることも挙げている。

また、2019年までに20の国際的なスポーツイベントを誘致する為に、積極的に招致活動を行っていこうというプランもある。

一方で、ハード面に関して、ロンドン東部ストラトフォード地区という貧困地区を再開発し、大会で使用されてきた「Olympic Park」はクイーンエリザベス公園となり、都市公園に生まれ変わることを目指している。ロンドン東部地区は、長い間工業地帯として使用されてきた為、有害化学物質による土地汚染に見舞われ再開発を避けられてきた地区であり、その為、西部と東部では貧困の差が大きくなったと言われている。

2012年ロンドン招致委員会は、「Legacy Plan」を特に「若者世代のスポーツへの取り込み」にフォーカスを 当てたことがIOC(国際オリンピック委員会)の思惑と一致し、招致も少なからず有利に進められたのも事実である。

「オリンピック」を東京に持ってきたいのであれば、IOCが現在考えている事、そして、将来的に何を優先していくかという考えを汲み取り「Legacy Plan」を作っていかなくてはいけない。たかが、「Olympic Legacy」と思われるかもしれないが、少なからず「招致成功」に影響を与える要因である事は間違いない。

2013年4月15日月曜日

Olympic Legacy ①

久しぶりの投稿である。

前回のブログでもアップした通り、約1週間に及ぶ「Easter Break」も終わり、先週から講義が始まった。

休暇後の第1週目の講義は、「Olympic Legacy」についてだ。

「Olympic Legacy」という言葉をご存知だろうか?

私自身も日本にいた時は、ほとんど聞いたことがなく、特に関心を持ったことがなかったが、
スイス、ローザンヌに来て、IOC及びIFs関係者から度々「Olympic Legacy」の話がでて来ることが多く、非常に重要な「テーマ」である事に気付いた。

東京が2016年の五輪開催国として立候補した時、当時のIOC評価委員会は、報告書の1部に以下のような評価を残している。

"During its visit. the Commission felt that legacy plans for certain permanent venues were unclear."

簡単に言うと、2016年の東京レガシー計画(ハード面)は、明確ではないと示されている。

では、なぜ、この話題を出すかというと、「Olympic Legacy」というテーマは、IOC(国際オリンピック委員会)が最も力をいれている部分であり、オリンピック憲章には、「開催都市・開催国は、建設的なレガシーを促進すること」と明記されており、オリンピック立候補都市にはレガシープランを提出する事が義務づけられているのである。

その理由として、開催都市・開催国にとっても、インフラに貴重な公費を使ってオリンピックを開催する以上、オリンピックが一過性のイベントに終わったり、ましてや会場がその後有効利用されず、維持費のみかかる意味のない物にすることを避けなくてはいけない。そのためにも、オリンピック開催により得られた効果をどのように継続していくかをIOCは開催都市・開催国に徹底的に考えさせる訳である。

今回は、「Olympic legacy」の基本について説明したい。

まずは、「Olympic legacy とは何なのか?」

「オリンピック」というメガスポーツイベントを通し、長期的、そして、短期的な視点から、開催国となる都市をどのような形で「発展」させる事ができるのか、そして、次世代にどのような「遺産」を残し、
「オリンピック開催」により得られた効果が将来的にどう持続していくかをポイントとしている。

次に、「Olympic Legacyには、どのような視点があるのか?」

1. Sporting Legacy


「スポーツ」をする機会を増やすことを目的とした、スポーツ施設の使用、そして、開催国が投資したインフラをどのように次に使用するべきなのか、より多くの人がスポーツに参加する機会を増やすためにプログラムを作ったり、その為の指導者をどのように育成するべきなのかをポイントとしている。




2. Social Legacy




民族差別、性別差別、人種差別、宗教差別に対して「オリンピック」というメガスポーツイベントを通してどのように無くしていくのか、そして、それに対して自尊心と連帯意識の向上、異文化の理解を深める事にどう繋げていくかをポイントとしている。










3. Environmental Legacy

「オリンピック」というメガイベントを通し、どのように環境問題に取り組んでいくべきか。例えば、「オリンピック」開催に向けて「新しいエネルギー資源」を取り入れたり、「オリンピックパーク」と題し、植林を行い都市の中に新しい公園を建設する。以上の取り組みの中から、発展都市を新しい環境に優しい都市へと変えていく、比較的発展国の開催都市が目指す「Olympic Legacy」である。※2012年のロンドン五輪は、環境問題に特に力を入れていたと言われる。



4. Urban Legacy


「オリンピック」というメガイベントを通し、投資を集中させ、建設を増やしどのように発展途上国から発展国の都市へと変革を遂げるかをポイントとしている。※2016年のリオジャネイロ五輪がこのケースに当てはまる。





5. Economic Legacy

「オリンピック」というメガイベントを行うことで、開催都市はどのくらいの経済効果を生むのか、そして、GDPはどのくらい上昇するのかをポイントと置いている。そして、「オリンピック開催」に伴う新規雇用について、「オリンピック開催」に直接的に関わる雇用、そして、間接的な雇用はどのくらい生まれるのかも大きく関わってくる。



以上の大きく分けた5つの視点から、今度は、ハード面(競技施設、宿泊施設、交通インフラ)、そして、ソフト面(教育・環境面の向上)の視点に分けて考えられることが多い。

また、IOCの部門にも「Transfer of knowledge」という部門があり、現在、2012年ロンドン五輪のレガシーをどのように2016年のリオジェネイロ五輪に引き継ぐかに注力されており、「継続性」に非常に重きを置いているのがわかる。

次回は、2012年ロンドン五輪の「Olympic Legacy」について注目したいと思う。