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(Source from 時事通信社)
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いよいよ、2020年夏季五輪開催都市の決定まであと3日となった。もう既に東京の招致関係者も国際オリンピック委員会(IOC)総会が開かれるブエノス・アイレス(アルゼンチン)に入り、最後のロビー活動をしている頃だろうか。「4年前の雪辱」を果たしたい東京、今回で「3回目の五輪招致」となるマドリード、「イスラム圏初」の五輪開催を望むイスタンブールの3都市が接戦を繰り広げている。勝負の行方はどうなるのか?
様々な情報を分析した結果、あくまでも個人的な主観になるが、今回のIOC総会で決まる、1)2020年夏季五輪開催都市 2)2020年夏季五輪からの競技 3)新IOC会長選を予想してみようと思う。
まずは、その前にブエノス・アイレスで開かれるIOC総会のスケジュール(現地時間)をもう一度確認しておきたい。IOC総会は、ブエノスアイレス・ヒルトンが会場となり、
1)9月 7日 2020年夏季五輪開催都市の決定
2)9月 8日 2020年夏季五輪からの競技の採用
3)9月10日 第9代IOC会長の選出
以上のスケジュールで103名のIOC委員によって決定される。
※開催都市の決定に関しては、立候補都市(国)のIOC委員(東京1人、マドリード3人、イスタンブール1人)とロゲ会長は投票できないので最大97人のIOC委員の投票となる。
では、IOC総会の最初の決定事、2020年夏季五輪開催都市はどこに決まるのか?
正直、接戦という事もありかなり予想は難しいが、1回目の投票では、東京35票、マドリード35票、イスタンブール27票(もちろんプラスマイナスはある)計97票の僅差で東京とマドリードが2回目の決選投票に行くと考えられる。ここでのポイントは、1回目の投票で一番になる事が重要ではない。1回目は、僅差になる為、まずは、1回目で落選しない事が何よりも大事なのである。そして、2回目の決選投票で重要な事は、1回目の上位2都市は僅差になる事が予想される為、1回目で落選した都市に投票したIOC委員の票をいかに決選投票で票を得る事ができるようにロビー活動・交渉ができているかである。それができている都市が最後に勝つだろう。
個人的な見解としては、そもそもマドリードの強力なロビー活動でマドリードへの投票を決めているIOC委員は1回目で投票してくる可能性が高く、2016年のリオジャネイロとマドリードにあったラテン同盟票という分かりやすい助け合いは今回ないように思う。従って、2回目で正当な評価(自由投票)という流れになれば、東京が有利になるのは間違いない。理由として、マドリードは経済不安を抱えているからだ。IOCの現状を考えれば経済不安というのは何よりも大きな問題である。スペイン経済は、今年の4月~6月期のGDP成長率こそマイナス0.1%とマイナス幅が縮まっているが、失業率は全体で25%を越え、若者に関しては50%を上回り、景気回復の兆候が見えない事態は深刻である。クラスメイトのスペイン人も、正直、支持率ほど五輪招致は盛り上がっていない、そして、その前に深刻である雇用対策に集中して欲しいという意見である。
さらに、14年ソチ五輪は、当初予算の100億ドル(1兆円)から500億ドル(5兆円)になる見込みで当初予算の5倍費用がかかる予定となっている。この金額は、これまでのオリンピックの中で最も高い大会費用となる。一般的に、オリンピックの予算は平均して当初予算の約1.8倍超過する傾向がある。成熟都市での開催であったロンドン五輪でさえ、当初予算の3倍以上の予算がかかり、16年リオ五輪も当初予算を大幅に越えるだろうと予想される。現在、五輪開催に費用がかかりすぎている点はIOCの一番の悩みだろう。マドリードは、いくら低予算を打ち出しているからといっても、準備金が不足する可能性も十分に考えられ、IOC委員の頭の片隅に危機感は残っているはずだ。一方で、東京は、約4000億円の開催準備金も既に確保しており、政府による強固な支援を受けているという現実的な判断に最後は有利に動くように思う。それほど、IOCは新会長が決まる前のタイミングで大きなリスクは取りたくないという考えなのではないか。従って、2020年夏季開催都市は東京に決まる事を予想したい。
2020年夏季開催都市が決まるポイントは他にもある。以下の三点を挙げたい。
まずは、1)最終プレゼンテーション(以下:プレゼン)である。
恐らく、何票かはまだ開催地を決めていないIOC委員の票はあるのではないかと思う。いわゆる、浮動票である。これは、必ず毎回何票かはあると聞く。だったらその浮動票は何できまるのか?それは、最後の印象、つまり、最終プレゼンの印象である。2012年の当時ロンドン五輪招致委員会の委員長であったセバスチャン・コー氏が、当時パリ優勢の中、若い世代へのスポーツの盛り上がりを前面に出し、他の都市と一味違ったプレゼンを行いIOC委員に良い印象を与えたのが勝因の一つだと言われている。従って、最終プレゼンは、最も大事なプレゼンなのである。また、同時に、誰が最終プレゼンに登壇するのかも重要である。今回、皇族である高円宮妃の久子さまの最終プレゼン登壇は、2016年五輪招致時になかった事であり、東京五輪招致にプラスになる事は間違いない。
また、2)IOCに絶大な影響力があるアハマドIOC委員(クウェート)とIOC委員に顔が利き、スポーツアコードの会長、そして、国際柔道連盟の会長でもあるビゼール氏(ルーマニア)が最終的にどの都市をサポートし、どういう動きをするのかというのも大きなポイントである。
そして、3)日中韓関係、アジア票の支持も大事である。IOC委員である国際武術連盟の于再清(ウ・サイセイ)会長(中国)がIOC理事をおさえているように(※下図参照。スポーツアコードでの武術票は1回目を除き最後まで4票は堅かった)、また、アフリカにも影響力のある中国のIOC委員の動向が気になる所である。しかし、一方で、FIVB(国際バレーボール連盟)で会長を務めた経験もあり、中国オリンピック委員会の事務総長を務めた事がある魏記中(ウェイ・ジジョン)氏は中国のIOC委員とも繋がりが強いと聞く。彼の下で働いた事がある中国オリンピック委員会に在籍するクラスメイトは、「魏記中(ウェイ・ジジョン)氏は東京が有利という見解を持っている」と教えてくれた。最後まで、中国のIOC委員の動きから目が離せない。
(Source
from 朝日新聞)
次は、残り一枠のスポーツ競技。5月のスポーツアコードで行われた投票を見て頂ければわかると思うが、1回目の投票で過半数を取ったレスリングはもはや戻さなくてはいけない競技というIOCの認識があるのがわかる。IOC理事は、事前にIOC委員からの声も聞いているはずなので、IOC委員の意見は反映された結果となっているに違いない。つまり、最後の一競技として残るのは、レスリングになる可能性が非常に高いと予想する。一方で、開催地が東京に決まれば野球・ソフトボールの可能性もあると少しは考えられるかもしれないが、2024年の競技継続の事も考えれば2020年は東京だからという判断は通用しないのではないかと思う。
そして、最後に決まる第9代IOC会長は、トーマス・バッハ氏(ドイツ)が有力であると予想する。理由として、どの情報でもやはりトーマス・バッハ氏の名前が1人歩きしているからだ。また、唯一の対抗馬である同じIOC副会長のセルミャン・ウン氏(シンガポール)に関して、欧州出身のIOC委員が44人もいる欧州主導のIOCが、そのリーダーをアジア人にする事はなかなか考えにくいと思う。ローザンヌネットワークを観てきた自分自身がそれを一番痛感する点でもある。
最後に、何度も言っているが、今後、招致レースはますます難しくなると予想される。今回の有力な候補がいない状況下で、絶好のチャンスを逃すと今後日本にオリンピックを持ってくるのは非常に難しくなる。2024年立候補を検討している国は、フランス・アメリカ・ロシア・中東・アジア新興国・アフリカと強敵揃いだからである。
また、今回の招致合戦で世界のスポーツ界における日本の影響力がどの程度なのか分かる。オールジャパン体制として2016年時とは明らかな違いがある政府の支援、安倍首相が中東の票を固めるべく中東訪問をするなど、やれる事はすべてやっている本気の今回は、外交力と政治力も可能な限り利用しているはずだ。そんな中、万が一負ける事があれば、日本の世界のスポーツ界に対する影響力の低さを露呈し、そして、今後、ますます、その影響力が無くなる事が明確になる。
日本がスポーツ大国になるためにも、世界のスポーツ界に影響力を持つためにも、今回の招致合戦は絶対に負けられない戦いなのである。
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