2013年1月25日金曜日

IOC Broadcast Rights Revenues

昨日、国際オリンピック委員会にて、1日がかりの講義を受けてきた。

その中でも、特に印象に残った「IOC放映権収入」について、
そして、そこから読み取れる次の動きについてフィードバックしておきたい。

実は、「IOCの全体収入」の中で、一番何が大きいかというと「放映権料」である。
それ自体、驚くことではないが、何が凄いかというと「放映権料」の収入に対する割合である。


 












なんと・・・、約50%が「放映権料」が占めてられている。

ちなみに、この「放映権料」の90%以上は、主に各組織委員会、各国のオリンピック委員会、各国際連盟に分配され、残りの10%弱がIOCの手元に残る分配の決まりになっている。




 
















さらに、その「放映権料」は各大会事に上昇し続けている。

果たして、これは健全な財務体質なのだろうか?
各国のTV局も膨大な放映権料に対応できるのか?

そろそろ、各TV局も難色を示し、いつ、どこでこの「放映権収入」モデルが崩壊するかわからない状態である。

また、「IOCの放映権料はどこがどれくらい払っているのか?」というと、
約50%がアメリカのTV局からだ。約25%ヨーロッパ連合、約15%がジャパンコンソーシアム。

特にアメリカの放映権料は異常で、
夏・冬のオリンピックと年々とすごい勢いで「放映権料」は増え続けている。
それは、スポンサー収入も同様で、IOCからすればアメリカ様々なのである。



















以上の状況から、何が読み取れるのかというと、2024年の五輪招致の情勢である。

2024年はフランス・パリが第1候補(第1回冬季五輪開催:1924年から100周年記念)(さらに北京五輪での代替え案の恩があり)という推測が多い中、こちらでは、そろそろアメリカ(どの都市かは未定)に「五輪開催」を譲らなければ、IOCの収入(放映権料・スポンサー料)が減ることになり、それではダメだとIOCが危機感を覚え、アメリカを第1候補にという話も聞く。

いずれにせよ、2024年は、フランス対アメリカの招致合戦になる気配で、
IOCの放映権収入構造から、次の招致合戦を読むこともできるのだ。

従って、2024年の対立構造、そして、今後のアフリカ・中東・東南アジアの経済成長・プレゼンスの上昇を考えれば、「日本での五輪開催意義」を示すことはより難しくなる。

日本・東京が「今回の2020年五輪招致がラストチャンス」と言われる意味がよくわかるのである。




2013年1月22日火曜日

「欧州スポーツ文化・歴史」を勉強する理由

IOCが中心となって設立した大学院、aists mastering sport の授業も慌ただしく二週間が過ぎた。
正直、本当に勉強しかしていない・・・・・
というか、勉強しかする余裕がなかったという表現の方が正しいのかもしれない。

ようやく訪れた平穏なうちに、二週間を振り返っておきたい。

この二週間、授業の具体名を挙げると、
「Olympic Movement」
「Olympic Marketing」
「Old and New actors of the sports world」
「Sports Economy」
「Legal Entities in Sport」など。

先生は、Prof. Jaen-Loup Chappelet, IDHEAP
なんと、1972年以降のすべての夏・冬のオリンピック大会に携わられている実践経験豊富の教授である。(88年のSeoul、88年のCalgaryを除く) 非常に優しい方で、生徒からも大人気。













※Olympic Marketing の著者でもある。

さて、肝心の内容であるが、
授業では調べたらわかる内容にはほとんど触れず、情報を収集した中から「あなたならはどう考えるか?」という発展的な形で議論になることが多い。

例えば、「オリンピック・ムーブメントという概念は、これまでのスポーツ文化・歴史を考えた上で、
      21世紀にも生き残るのか?」

オリンピック・ムーブメントとは「オリンピズムとその諸価値に従いスポーツを実践することを通じて若者を教育し、平和でよりよい世界の建設に貢献することを目的とした活動」と定義されている。

オリンピックは、五輪マークをもとに世界の平和象徴というブランディングに成功し、ユース年代の教育という観点からユースオリンピックも2010年よりスタートしている。

一見、「オリンピックムーブメント」という概念は成功しているかのように見えるが・・・・

しかし、一方で、1999年のソルトレーク五輪招致レース中に起こったのIOC委員賄賂事件を始め、オリンピックの商業主義(莫大な放映権)、そして、2012年ロンドンオリンピック開催中、「五輪停戦」という概念を無視したシリア内戦の勃発という、きわめつけは「自転車:アームストロング選手のドーピング問題」の要因となった「勝利至上主義(勝つことがすべて)」というオリンピックムーブメントに反する問題も多々起こっている。

外部環境が日々スピーディーに変化する中、どうあなたは判断するかということ。

これが来週のテストのお題になる。

「欧州のスポーツ文化・歴史」を勉強するにあたり、学べば学ぶほど一つ一つの細かな点に歴史や由来がある事に気づかされるし、

なぜ、オリンピック・ムーブメントは始まったのか?
なぜ、WADA(世界アンチ・ドーピング機関)は設立されたのか?
なぜ、当初は、オリンピック競技大会に女性の参加が認められなかったのか?

以上の「欧州のスポーツ文化・歴史」がわかっていないと答えを導き出すことはできないのである。

改めて、「欧州のスポーツ文化・歴史」を勉強する必要性を考えさせられた二週間であった。


2013年1月2日水曜日

2013年目標~留学前の心境~

1月2日(水)京都で初蹴りを終え、
留学前の最終準備を整えている所だ。

「何事も準備が大事」

そういえば、サッカー日本代表の本田選手がよく言っていたな。

2013年は、日本のスポーツ産業にとって非常に重要な位置づけになるだろう。

東京オリンピックが2020年に来るか来ないかでは、日本の経済に対する影響力、そして、「スポーツ庁」という組織ができるかどうかにも関わってくる。

2020東京五輪が来なければ、「スポーツ庁」自体の予算・役割も半減すうるだろう。

一方で、

少子高齢化、財政の破たん、隣国との領土問題、円安反転と中東情勢の悪化にエネルギー価格の高騰

日本が縮小していく中で、確実に世界はあらゆる点で拡大していく。

そうした中で、重要なのは、「世界で戦えるか国際人か?」ということである。

私自身、留学自体は3度目で、その経験で感じたことは、
「自身の差別化」の重要性。自分にしかできないことは何なのか?

国際スポーツ組織でも、日本語と英語しか話せないアジア人を取るなら、何か国語も話せるヨーロッパ人を取るだろう。だったら、どこで勝負するべきなのか?
そのポジショニングと戦略が「世界で戦える最低限の考え方」になってくる。

私自身、重々心得ている為、「自身の差別化」の準備をしっかりしたい。

そして、もう一つの目標、「多様な文化・価値観を理解すること」

日本に住む分では、正直、英語は必要ないと思うし、使う機会もほとんどないのが現状である。

しかし、世界に住むことを前提とし、世界の企業・組織で仕事をすることを目標においてるのであれば話が別である。

東京という世界の大都市でも、外国人はまだまだ世界に比べれば少なく、多様な文化の中で育っているわけではない。

相手の文化を理解しない限り、一緒にチームとなって仕事することも難しく、
協調性を生むことはできない。

従って、まずは、相手を理解することから留学のスタートをきりたいと思う。

以上、2つの視点を持って、今年会う予定の約40人のクラスメイトとは一生の友人になれるよう、
楽しんでいきたいと思う。

2013年を最高の年に、

皆様、今年も宜しくお願い致します。

塚本拓也