2013年5月17日金曜日

中東情勢は五輪招致に影響を与えるのか?

2013年9月7日@ブエノス・アイレスで2020年オリンピック開催国が決定する。
いよいよ残り約100日となってきた。

世耕弘成官房副長官は会議後の記者会見で「これまでかなり外国に働き掛けてきたが、今後は支持を確実なものにしていく段階になる」と強調した。(共同) 2013.5.16

以上の言及のように、残り約100日という期間、ここからが本当の勝負となってくる。
5月の「スポーツアコード」、6月のANOC総会@ローザンヌ、7月のIOC委員に対するプレゼンテーション@ローザンヌで7月下旬当たりには大方の流れができあがるのではないかと予想する。

ポイントは、一点のみで、「どのようにしてIOC委員から2020年東京開催の賛同を得られるか」である。約100名のIOC委員に対して、誰が東京に投票をするかしないかという具体的な所までわかっていないといけない、そして、もっと言えば、第1回目の投票で最初に負けた国の投票をどのように得るかという第2回目の投票の動向まで想定していく段階になるだろう。

そして、同時に、この時期に大事になってくるのは、「国際情勢(政治)の動向」である。

オリンピックの招致活動において、「大きな力」=「国際政治(国際情勢の影響から)」が働くのは関係者の間では周知の事実であり、その「大きな力」を引き寄せることが何よりも大事になってくる。

では、過去のオリンピック招致レースはどうだったのか?
国際情勢と五輪招致の関係性を見ていきたい。

①2008年北京五輪
・中国(北京)は、なかなかオリンピック招致の正式表明を発表しなかった。その理由として、中国を  
  国際社会に引き入れる為、2008年は中国(北京)での開催を強く望んだアメリカとの駆け引きがあ
 った為である。アメリカ企業であるGEは、中国のインフラ事業をオリンピックネットワークで獲得
 しようとし、オリンピックスポンサーでもあるコカコーラ社も、当時、競合他社でもあったペプシコ社
 の台頭から、巨大マーケットの中国市場への参入の強化の為望んだ経緯もあり、アメリカの経済
 界が北京開催を強く望んだ。また、もともとニューヨークは、2008年の大会招致に立候補してい
 たが、2週間もたたずに立候補を取り下げるというアメリカ政府からの圧力があったと思わさせる
 出来事もある。結果、中国(北京)は、最終的に56票という過半数で圧倒的な勝利を収めた。

②2012年ロンドン五輪
・もともと2012年オリンピック招致は、2008年の北京代替案でIOCに借りを作ったパリが優勢であ
 った。しかし、結果は、パリとの4票差という激戦を制したロンドンに決まった。その背景として、ア
 メリカ主導のイラク戦争に反対したフランスには絶対に勝たせてはいけないと、アメリカのIOC委
 員が他国のIOC委員を巻き込みロンドン票を固め、最終的に、イラク戦争に協力したイギリスに
 勝たせたと言われている。

③2016年リオジャネイロ五輪
・前評判は、1996年アトランタ五輪以来の大本命と言われ、最終プレゼンには、オバマ大統領夫
  妻 も出席したシカゴが最有力だと言われてたが、結果は、第1回の投票でまさかの落選となっ
  た。背景に何が起こったのか?今回は、2012年のアメリカの動きに対するIOCの仕返しであった
  と言われている。長年、多額の放映権、スポンサー料を払っているアメリカ側に容易に勝たせる
  事をしない程、国際情勢と五輪招致の関係性は複雑なのである。

では、2020年招致活動と国際情勢の関係性はどうなのか?

マドリードのEU経済不安はもちろんであるが、一つの大きなポイントとなってくるのが中東情勢である。



具体的に、現在、中東情勢は何がどうなっているのかご存知だろうか?

先日、トルコ南部でテロ爆弾があり多数の死者を出した中東情勢は今後ますます悪化していくと予想される。その結果、とうとう、アメリカも不本意ながらシリア情勢に介入を深めていくようだ。基本的に戦争が嫌いなオバマ大統領はできる限り介入を避けたかったが(イラクやリビアとは違い、シリアには石油がない為、アメリカにとってはメリットがない)、

1.これ以上時間を費やしたら介入がより難しくなり、また、介入コストもよりかかる為、早期介入を
  望む人が多い事

2. 放置すればする程、周辺国に難民が流れ込み宗教対立の激化を生む事

3.シリア(イラン・ロシア)VSイスラエル(アメリカ・NATO)の構図から、ロシアがアメリカに協力する
  という動きに変わったてきた事(先日、プーチン大統領とイスラエル首相との会談もあり)

以上の事から、アメリカも本格的にシリア情勢に介入をしていくが、それに伴い、中東情勢の不安定化が長期化すると予想される。上記の五輪招致の過去の例からわかるように、各国の思惑が働くのが五輪招致であり、最終的な「大きな流れ」を作る決め手となる。

今後、中東情勢は2020年五輪招致に間違いなく影響を与えていくと思う。中東情勢がどう2020年五輪招致に影響するかが大きなポイントとなり、今後、中東情勢の動向には目が離せない。

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