2013年5月12日日曜日

なぜIOC委員は候補都市を訪問してはいけないのか?

 IOC(国際オリンピック委員会)は、2002年の冬季オリンピック・パラリンピック招致の際に起きた「ソルトレークシティー招致スキャンダル」と呼ばれる事件以来、IOC委員が自由に立候補都市を訪問する事を禁止してきた。

 理由として、当時、ソルトレークシティー招致委員会と一部のIOC委員との間で法外な金銭授受があった為である。

 事の発端は、ソルトレークシティー招致委員会の主要メンバーからの手紙が原因で、「もうこれ以上は奨学金を支払えない」という内容から、各メディアが「招致委員会がIOC委員の娘に総額40万ドルに及ぶ奨学金を提供した」と報じた事から問題が明るみにでる事になり、大問題へと繋がった。

 以後、問題を収束するべく、IOCは臨時総会でIOC委員の開催地に立候補した都市への訪問を「全面禁止」とする事を決めた。さらに、仕事の関係でどうしても行かなければ行けない場合は、IOCに届け出て許可を受けなければいけなく、その上、立候補した都市からIOC委員への個別接触もしてはいけない事になった。

 以上の決定をされるようになって、10年以上がたつがローザンヌでも各方面からこの問題について話をよく聞くように思う。

 3 Wire SportsのAlan Abrahamson氏も「次期IOC会長に求める10の提言」でオリンピック開催都市を決めるBid city processを変えなければいけないとして、そろそろIOC委員も各立候補都市を訪れても良いのではないかと提言している"The IOC presidency Top-10 list by Alan Abrahamson" (今後のIOCの動向を見極める上で、重要なキーワードがたくさんあるのでお時間ある時にでも、是非一読して欲しい。)

 
  では、なぜIOC委員は各都市を訪問するべきなのか?

 私は、彼らの指摘を含め、大きな問題は以下の3点にあると思う。

 まず、1点目は、自分の目で見ずに、いったい何を基準にして開催都市を選ぶべきなのか?が不明確な点である。少なくとも訪問を禁止されているIOC委員は、1次情報を得ることができず、誰かに聞くのか、ニュースを見るのかという2次情報に頼らなくてはいけない状況にある。

 そして、2点目は、IOC委員の訪問が禁止された事への変わりの制度として作られた「IOC評価委員会のレポート」であるが、問題は、多くのIOC委員が評価レポートに目を通していない可能性があると、Alan Abrahamson氏は述べている。 「評価委員会のレポート」を読まなければ何を基準に各立候補都市を評価するのかさらに疑問である。

 最後に、3点目として、立候補する都市、とりわけ初めて立候補する都市が不利な点にある。理由として、世界的に有名な都市、かつオリンピックなどの国際大会を何度も招致した経験を持つ都市がライバルとなれば当然不利に動く事は否めない。

 以上の3点の問題を解決するべく、今年の9月次期IOC会長が決まるタイミングで各オリンピック開催都市の決定方法も変わっていくのではないかと期待されている。今後の「IOCの動向」に是非注目したいと思う。


"AISTSの講義に来てくださったフィンランド出身のIOC委員であるPeter Tallberg氏もこの問題についてお話くださいました。

そして、やはりIOC委員は、世論に流されるのではなく、独自の考え方、プライドを持ち、責任を持って開催都市に投票されているのだなと話をする上で痛感しました。

もちろん、2020年東京に関しても、応援のお言葉を頂いております!!"